さざれごと

もしかしたら誰かが見るかも、という微かな緊張感をもって綴る日常の滓や澱

日本語教育100の質問(14)資格を取ればすぐ授業できますか

日本語教師の資格に教育実習が義務付けられるそうですね。

日本語教師の資格、教育実習も必須に 文化審議会が方針:朝日新聞デジタル

これまで義務じゃなかったのも面白い話です。

 

大学とか養成講座とかなら模擬授業のチャンスがあったりするんでしょうね。嬉し恥ずかし模擬授業。お互いに学習者役をする養成講座もありますね。講師のバイトで担当したことがあります。面白かったなぁ。

検定には完全に独学で合格する方もいるでしょう。今後はどこかで実習するわけですね。これまでは、試験一発で書類上は有資格者。授業担当を妨げるものはありませんでした。

…いやいや、やっぱり難しいんじゃない?そりゃ、できる人もいるでしょうけど。

 

昔は授業の準備に時間がかかりました。教案作って、教具やらプリントやらを段取りして、経過時間を予測して…で、全然そのとおりには進まない。予想外の質問に「ううむ…先生の宿題!」と汗だくになって。思い出しても冷や汗が出ます。「今日は良い授業ができた!」と思える授業は、なかなかすぐにはできませんでした。

今は授業のポイントをまとめたメモ程度になりましたし、アタマの中での授業の組み立ても早くなりました。パワポとか問題とかも随分作り置きができましたし、「ここを疑問に思うからこう説明」みたいなのも外さなくなりました。場数は身を助けます。

 

とはいえ、同じ学校の、同じレベルの、同じ教材の同じページでも、去年と今年の学習者では反応が違います。だから、同じ項目でも同じ授業はムリです。「予想外」への瞬発力も必要ですね。慣れは、やっぱり大切。

 

…みんな最初は初心者です。だから、新しい先生が失敗しても周りが拾える環境が良いんじゃないかな、と思います。長いこと教えている先生が、新しい先生のことも立てつつサラっとスマートに補う。

後進の育成も、大切なお仕事です。あくまでスマートに。押し付けでなく。

新しい先生が学習者に「嘘を教えちゃった」場合が、さらっと補う際にいちばんタイヘンですね。

わからないことは「調べてくるねっ(ハート)」と持って帰る。そして調べて、堂々と教える。学習者の信頼も自身の知識も得られます。

 

ああ、新しいことをどんどん取り入れたがるのって、実は大切だと思うんです。化石化コワい。だから、積極的にいろいろなところに出ていって老いも若きも関係なく教わって、学んで。社会人になってから大学院に行くと同期がナウなヤングだったりするので、非常に楽しかったです。

 

ずいぶん前に先生になりましたが、常に謙虚でありたいと思います。