日本語教育100の質問(12)授業は何語で行いますか
日本語の先生あるあるの一つに、「えー、日本語の先生なんですか!じゃあ、英語ペラペラなんですね~!」という世間からの勘違いがあるんじゃないかと思います。
…全然ペラペラじゃありません。
クラスにいろいろな言葉を話す学習者がいます。「えー、すごいですね何か国語も話せるんですね~!」
…そんな凄い能力を持っていたら別の場所で活躍していたことでしょう。
僕はいくつかの日本語教育機関(と、大学の留学生別科と)で働いてきましたが、そのすべてが「日本語で」「日本語を」教えていました。
日本語だけで日本語を教える教え方を「直接法」と言います。学生の母語など(媒介語、といいます。勉強したい言葉以外のことば)を用いて教えるのは「間接法」です。
直接法で教えるのは絵をかいたり動きまくったり、特に初級の最初の段階は大変です。いつまでこのような動きまくる授業ができるだろうと自分の年齢を考えてため息をついたりします。
直接法と間接法、どちらにも一長一短ありますね。
・クラスにいろいろな言葉を話す学習者がいる場合、直接法で教えることが多いでしょうね。
・クラス全員の使用言語が同じでも、先生がその言葉を使えない場合直接法で教えるしかないですね。僕も今全員ベトナム人のクラスをひとつ担当していますが、ベトナム語は全然できません(ちゃんと勉強したい)。
・勉強を始めたばかりの学習者には間接法のほうが「居心地が良い」んじゃないかなと推察しますがどうでしょう。
・先生は直接法で教え、例えば文法の解説などを母語で確認する方法もいいかもしれません。そんなわけで『みんなの日本語』の多様な言語による翻訳・文法解説は便利でしょうね。
・学習者の脳の中ではどんなことが起きているのでしょうね?間接法はいったん母語に意識が引き戻されるんじゃないか(脳の中の別のモジュールに意識が「ぶれる」んじゃないか)と思うんですが、どうなんでしょ?
「絶対直接法じゃなきゃダメ!」とか言う人もいます。
僕は、この意見には反対です。
学習者が学びやすいなら、効果が上がるなら、日本語が上手になるならどんな方法だっていいじゃないか!絶対に媒介語を使わないなんて自己満足にしかならん!目的のためには手段をどうこう言わなくてもいいじゃないか!…と。
みなさんはどうお考えでしょう?