さざれごと

もしかしたら誰かが見るかも、という微かな緊張感をもって綴る日常の滓や澱

日本語教育100の質問(13)授業は日本語の授業のみですか

この質問にはなかなか深く難しい意味に捉えられる部分と、表面的にカンタンな質問だと答えられる部分がありそうです。

1)深く難しい部分

「日本語の構造やら音声やらだけを教えればいいですか」という質問?という、ひねくれた解釈をしてみます。これは…違いますね。コンテンツがないと話せないし、「言葉のカタチ」と「言葉が運ぶ意味」は一対一でもありません。

どんな場面で、どんな言葉が「適当」で、どんな意味を運ぶのか。どんなことについて、誰に話し、聞くのか。発信にも受信にも、ある言葉を使うには「言葉のカタチ」以外の知識も必要になります。

<反省>

「こんなんいつ使うん?」という内容、時々ありますよね。

・たとえば「あなた」という言葉、僕はほぼ使いません。皆さんはどうでしょう。

・「~なら」「~ば」「~と」をあまり使わないのは僕が関西人だからでしょうか?初級段階は「~たら」「~なら」だけでいいよ、という、一橋大学の庵先生のお話もあったりしますね。僕は殆どの「~なら」を「~んだったら」にしちゃいます。(「~んやったら」ですね正確には。関西弁)。

・推量の「~でしょう」も、少なくとも「学生」という立場では使わないですよね。権威ある者、「私は正確無比」という立場、じゃないと使えない。

<反省終わり>

 

…というわけで、カタチだけじゃなくて言葉というツールを相応しく用いるための諸々の知識をも教えるのが日本語教育ですよ、答えておきます。

 

2)もう少し、表面的な

「そんな小難しいことじゃなくて、ほら英語とか数学とか…」という意味での質問かもしれませんね。

多くの法務省告示機関(フツーの日本語学校の意)では、まず日本語を教えます。日本語の授業だけで年間760単位時間以上勉強しなければなりません。

他の授業をすることを禁じているわけではありませんから、いろいろ教える学校もあるかもしれません。

 

ちょっと特別な存在として「準備教育課程」があります。ここでも日本語は760単位時間以上勉強します。それから

・40単位時間以上の日本事情の勉強

・120時間以上の基礎教科(数学、理科または地理歴史公民、英語)

なども勉強します。

日本語教育機関とは違う部分があれこれ。で、ここで勉強すると、簡単に言えば「母国での勉強の年数が足りない人でも日本の大学入学資格が貰えるよ」という点が特別です。

けっこうたくさんある準備教育課程、賑わっているのかな~。こういうところで教える先生たちは当然、日本語以外も教えることになりますね。