さざれごと

もしかしたら誰かが見るかも、という微かな緊張感をもって綴る日常の滓や澱

日本語教育100の質問(20)1クラスは何人ぐらいですか

これも、まずまず答えやすい質問です。

何度も出てくる法務省「日本語教育機関の告示基準」は「日本語の授業は、同時に授業を受ける生徒数を20人以下として行うこと」と定めています。つまり、1クラスの人数は最大20人です。

これは日本語教育機関、法務省告示機関での人数です。そうでない環境であればもっと多くても構わないでしょうね。僕は嫌ですけど。

出張でベトナムの大学や日本語学校などを見学に行きました。大学などでは30人超えのクラスが当たり前のように運営されています。先生は教壇でプレゼンソフトを操作して授業にあたり、学生たちは熱心に聞いたり聞かずに遊んだり。これは大変。

 

僕は法務省が定める20人でも多すぎる気がします。そうですねぇ…12人ぐらいでどうでしょうか?約数が多いほうがいろいろできて良いと思います。

2人ペアが6組 ペアワーク

3人グループが4つ Aさん、Bさん、チェック

4人グループが3つ Aグループ vs Bグループ、Cグループがジャッジ

6人グループが2つ Aグループ vs Bグループ、教員がジャッジ

みたいに、活動に合わせて区切りやすいのがイイ感じです。

 

大人数だと講義形式になりがちですね。自律的な学習が望める大人数ならまだしも、そうではない場合はモニターが行き届きません。教える側としてはあまり大きすぎるクラスは歓迎しにくいですねぇ。

ゼニのことを考えると「20人入れたい!」という気持ちもわかります経営者の皆さん。でも、そこはぐっとこらえましょう。授業とクオリティを下げて小銭を得ても、学習者と教員の満足度が下がってしまったら…学校自体が長続きしませんよ。

 

日本語教育100の質問 目次(順次更新)

(0)始まり始まり

(1)日本語教師にはどうやってなるのですか?

(2)日本語教師は国家資格ですか

(3)ボランティアも日本語教師ですか

(4)オンラインで日本語を教えるのも日本語教師ですか

(5)小学校等で移住してきた外国人に日本語を教えるのも日本語教師ですか

(6)移住してきた外国人の主婦が通う学校も日本語学校ですか

(7)日本語教師に年齢制限はありますか

(8)日本語教育能力検定試験に合格すると日本語教師になれますか

(9)日本語教師になってから受ける試験はありますか

(10)日本語教師にはどのような人が向いていますか

(11)日本語教師はどこで働いていますか

(12)授業は何語で行いますか

(13)授業は日本語の授業のみですか

(14)資格を取ればすぐ授業できますか

(15)日本語教師が日本で働く場合と海外で働く場合と何が違うのですか

(16)日本語教師として海外で働くのに危険を伴うことがありますか

(17)-1 日本語教師は給料が低いと聞きますが本当ですか。それはなぜですか。

(17)-2 日本語教師は給料が安いと聞きますが本当ですか。それはなぜですか。

(18)日本語教師でステップアップするにはどうすればよいですか

(19)長い名前の学生はどのように呼んでいますか。

(20)1クラスは何人ぐらいですか

 

日本語教育100の質問(19)長い名前の学生はどのように呼んでいますか。

このあたりから、少し軽~い質問が続いています。一安心です。

 

ちょっと調べてみると、日本人の名前では

姓 佐藤、鈴木、高橋、田中、渡辺

名 男 ヒロシ、タカシ、アキラ 女 ケイコ、ヨウコ、ヨシコ

…が多いそうですね。全部ひらがなで書いても6文字か7文字。拍とか特殊音素とかの話は置いておいて、まあこんなものです。

 

本名が長い人、多いですね。

印象に残っているのはモンゴル、タイ。例えば白鳳さんの本名はムンフバティン・ダワージャルガルさんですし、タレントのブンシリさんはサハノンチャイクン・ブンシリさんです。

 

白鳳さんのモンゴルでの愛称は「ダワー」だそうです。ウィキペディアより。

白鳳さんと同様に、学生を愛称によって短く呼ぶことがあります。時々「私の愛称は○○です」と申し出てくれることもあります。なかばオフィシャルなものなんですね、愛称。本当かウソか知りませんが、タイの学生が「タイでは、タイ人の友達も本名を知りません。知っているのは愛称だけ。」と言っていましたが、本当なんでしょうか。

 

ブンシリさんのように名前の一部を呼ぶ場合も多いですね。姓なのか名なのか、詳しい方教えてください。

勤務校のインドネシア学生には両方のパターンがいます。一部を切り取る学生と愛称を名乗る学生。

ベトナムの学生には似ている名前の人が多いですね。グエン ティ ○○さんがいっぱいいます。同名の学生も珍しくありません。新学期はタイヘンです。時々オリジナル愛称を自分で決めて「○○と呼んでください」というベトナム学生もいます。「さくらと呼んでください」「あおいと呼んでください」とか、日本的。

教員としては本名と愛称と両方覚えておく必要がある場合が多いので、実は一苦労だったりもします。

 

外国人の名前、複雑です。でもなぜか、クラスに行くとなるとすぐに覚えられます。

長く日本語の先生をしていると、逆に日本人の名前が覚えられなくなったりします。カンタンだから覚えられるわけではない、ということですね(老化ではない、と自分に言い聞かせています)。

日本語教育100の質問(18)日本語教師でステップアップするにはどうすればよいですか

僕も知りたい質問がやってきました。

もしかすると、うちの奥さんにとっても切実なのかもしれません。

 

最近はいろいろ器用な方がいます。ツイッターなどを見ているとフリーで教えている先生とかウェブ上で教えている先生とか、本当にいろいろな方が。新しいことができるのは、素晴らしいですね。

 

僕自身のことで言うなら、比較的恵まれたキャリアだったかと。

1.留学中に日本に向けて履歴書送付。関西圏の学校に30通ぐらい送ったかな。

2.日本から留学先まで電話をかけてきてくれた日本語学校があり、帰国後常勤として採用されました。

3.帰国後すぐ受けた日本語教育能力検定試験に合格。

4.教務は気に入っていましたが経営陣と反りが合わず。残念。

5.近所の大手日本語学校に転職。

6.そこで働きながら大学院に。

7.大学院を終えると同時に、日本語教育機関を立ち上げようとしている大手専門学校に。

8.立ち上げ後数年勤め、大学別科に転職。

9.別科で勤めつつ、別大学の博士課程で学ぶ。

10.またまた立ち上げに関わるべく現在の勤務校へ。現在に至る。

 

個人的な経験の中で「これはステップアップのきっかけだったな」と思うのは、上記の1、6ですね。

・まずは行動する

・できれば(結果が残るカタチで)勉強する

というあたりは、現状に満足できない日本語の先生たちにオススメしたいと思います。

 

3も必須ではないまでもあるほうがいいかもしれませんね。同じような人材がいた場合は何でもかんでも「履歴書上の違い」が大きかったりしますものね。

 

でもまあ、僕のような「古いタイプのキャリア形成」、そのうち崩壊するかもしれませんね。すでに崩壊しているのかな。

 

今後はわれわれ日本語教師が「お上のお金で食える」状況になってくれるのも良いなあなんて思います。今後、日本に住む外国人が多くなりますよね。その日本語教育を担うのは国の責務だ、ということなのですから。国や地方自治体で働く日本語の先生が、任期付きとか時給制とかでなく、社会的地位と安定を守られつつ働ける未来を夢見ています。で、そんな未来でもステップアップできるように精進しなきゃなぁ…なんて。

 

日本語教育100の質問(17)-2 日本語教師は給料が安いと聞きますが本当ですか。それはなぜですか。

(17)-1 からの続きです。

1では、昔(10万人計画より前)は食えていたケド…という論文の紹介、供給過多、「いや、今不足してるでしょ」みたいな話について触れました。

3/20の「定める件」を集計すると、告示校は別表1-1と1-2で748校ありました。で、今ちらっと法務省のページ見たら、また改正されています。嗚呼(4/2付)。もう面倒なので、またあとで確認してください。たぶん増えているんでしょ?この改正、履歴を追う方法をご存知の方がいたらぜひご教示ください。

(8)では、いろんな機関で17,000人ぐらいの職業日本語先生(?)と22,000人強のボランティアの日本語の先生がいると書きました。新しい日本語学校について考えてみます。

(1)でも出てきた告示基準によれば、一つの学校には3人の先生が必要。

で、学生20人に先生1人以上。加えて1機関に2人以上かつ学生40人につき1人以上は専任。

つまり、先生最小かつ学生最大で考えれば学生数60人の学校ですね。先生は3人雇わなきゃダメ、かつ2人は専任じゃないとダメ。専任2人と非常勤1人で集められる最大の学生数は、60人。

1人の学生が納める学費が70万円ぐらいかな。学生募集の経費がコミッションやらなんやらかんやらで1人あたり15万円ぐらい?で、55万円が60人で…ええっと…3,300万円。単純に3等分して、ひとり1,100万円。おお、結構いいかも。

…もちろん、そうは問屋がおろしません。

例外はあるけど、基本的に校地が自己所有でないとダメ。建物も必要だし電気代とかもバカにならないでしょう。生活指導担当者や事務職員のお給料を忘れちゃダメですし、できれば海外で実際に面接もしたいしエージェント巡りもしたい。パンフレット代やらウェブページ代やら広報費だって必要でしょう。そんなことを考えると純利益はどんどん減っていきます。

(だから、正直に言えば今のようにポンポコ日本語学校が設立される状況が不思議です。どういう勝算があるのかな、と。)

これからますます、日本国内の日本語学校をどうしても目指さなければならない層が減っていくんではないかと思っています。「留学」以外の査証での入国、海外の日本語教育の充実、ICTの進化、等。

日本語教師の需要は無くならないと思うのですが、その活躍の場は日本語学校ではなくなるのでは…と。少しの期待と、少しの不安。

 

日本語教育100の質問(17)-1 日本語教師は給料が低いと聞きますが本当ですか。それはなぜですか。

「本当ですか」という質問ですが、誰よりも実感しているのは質問者であるうちの奥サマでしょう。早く楽な生活をさせたいものです。

僕の給料は「豊かではないけれど生活は何とか」ぐらいだと思います。贅沢は敵ですが、食えなくはない。できれば娘には国公立大学に行ってほしいな、というぐらい。

給料が安い。確かにそんな気がします。それを色んな人が考察しています。論文をまとめている方もいます。

「日本語教師は食べていけない」言説

「日本語教師は食べていけない」言説―『月刊日本語』の分析から―

↑そんな論文。とても面白かったです。

日本語教育は揺れ動く日本の方向性に翻弄され続けています。上海事件10万人計画30万人計画EPAリーマンショック事業仕分け留学就学の一本化、自然災害、経済状況、政治、流行…。

日本語学校の経営も、そんな外的要因に左右される部分が大きい。で、なぜ「影響をもろに受けちゃうのか」を考えなければならないと思うのです。

例えば。『サイドドアからの労働力受入れ(偽装留学とかいう言い方している方も)→経済格差がある国での「学生?」募集→対象国が経済成長→別の国へ募集対象を移動』

…みたいなことを繰り返していては、事業の持続可能性はどんどん低くなりますね。悪いことは長く続かないと信じたい(30年も続いてきたけど)。

で、悪い人が少しでも長く悪いことを続けるためには「絞れるところを絞る」必要があるわけで。その対象が先生たちのお給料です。

日本語の先生が供給過多だったのではないかという話もありますね。上記引用の論文にもありました。どんどん養成講座、どんどん420時間。養成講座についての質の担保は2017年になってようやく文化庁が始めたばかり。それまでどうなっていたんでしょ?

「いやいや、今は不足しているでしょ日本語のセンセ」と言う人もいます。何せ日本語学校が今や750校近くあるわけで、確かに数は必要かもしれない。でも、僕はここからの「日本語学校/日本語の先生の未来」についてはそう楽観的ではいられないと思っています。

あああ、長くなりそうな。初の第2章へ突入です。

日本語教育100の質問(16)日本語教師として海外で働くのに危険を伴うことがありますか

こ、これは…日本語教育に関する質問ではないかもしれません。さすがはうちの奥サマ。

 

日本国内に住んでいて働いている場合には生命の危機について考えることすらありませんから、僕たちは恵まれています。

最近カンボジアで日本人2人が強盗殺人を働き逮捕されるという事件もありました。許せない話です。どんな国にもいい人も悪い人もいます。日本だから安全、日本文化を共有しているから信頼できる、というわけでは全然ありません。

 

海外に行く際に気をつけたいことは、いろいろありますね。

例えば、僕は頻繁にベトナムに出張します。最初は「お腹痛くなったらどうしよう?」「蚊に刺されて病気になったらどうしよう?」といろいろ心配して薬やら虫よけやら持っていきました。氷入りの飲み物などもビビりながら飲んでいました。

でも、お腹を壊したことも病気になったことも、これまでのところありません。たまたま、だと思います。たまたま運が良かった。

 

外務省が「海外渡航・滞在」というページでいろいろな情報を発信しています。

その中の「海外安全ホームページ」には世界のあちこちの危険についてまとめられています。マレーシアのある地域では海賊、フィリピンのある地域ではテロ等、僕たちが普段意識しないような身の危険があることがわかります。

同じページの「世界の医療事情」にも病気等のことがまとめられています。さっき挙げたベトナムを眺めてみると、腹痛やら虫やら伝染病やら事故やら「うおお気をつけなきゃ」と思うことが書かれています。僕が最近一番恐れているのは狂犬病です。ベトナムのわんこの狂犬病ワクチン接種率は6割ぐらいなんですって。

 

違う国に行く時にはやっぱり、普段とは違う心構えが必要ですね。

・ちゃんと海外医療保険に入って、行く地域の「言葉が通じる」病院を確認しておく

・推奨される予防接種を受けておく

・危なそうな地域には近づかない、極端に華美な服装や高価なものを見せびらかして歩かない

・親切そうな人を無条件に信じてついていかない

…とかでしょうか?

特に先生として赴任する場合、長期に渡ってその国に滞在するわけですからね。楽しく生活するためにも、もしもの時のための準備は怠らないようにしたいものです。