さざれごと

もしかしたら誰かが見るかも、という微かな緊張感をもって綴る日常の滓や澱

日本語教育100の質問(17)-2 日本語教師は給料が安いと聞きますが本当ですか。それはなぜですか。

(17)-1 からの続きです。

1では、昔(10万人計画より前)は食えていたケド…という論文の紹介、供給過多、「いや、今不足してるでしょ」みたいな話について触れました。

3/20の「定める件」を集計すると、告示校は別表1-1と1-2で748校ありました。で、今ちらっと法務省のページ見たら、また改正されています。嗚呼(4/2付)。もう面倒なので、またあとで確認してください。たぶん増えているんでしょ?この改正、履歴を追う方法をご存知の方がいたらぜひご教示ください。

(8)では、いろんな機関で17,000人ぐらいの職業日本語先生(?)と22,000人強のボランティアの日本語の先生がいると書きました。新しい日本語学校について考えてみます。

(1)でも出てきた告示基準によれば、一つの学校には3人の先生が必要。

で、学生20人に先生1人以上。加えて1機関に2人以上かつ学生40人につき1人以上は専任。

つまり、先生最小かつ学生最大で考えれば学生数60人の学校ですね。先生は3人雇わなきゃダメ、かつ2人は専任じゃないとダメ。専任2人と非常勤1人で集められる最大の学生数は、60人。

1人の学生が納める学費が70万円ぐらいかな。学生募集の経費がコミッションやらなんやらかんやらで1人あたり15万円ぐらい?で、55万円が60人で…ええっと…3,300万円。単純に3等分して、ひとり1,100万円。おお、結構いいかも。

…もちろん、そうは問屋がおろしません。

例外はあるけど、基本的に校地が自己所有でないとダメ。建物も必要だし電気代とかもバカにならないでしょう。生活指導担当者や事務職員のお給料を忘れちゃダメですし、できれば海外で実際に面接もしたいしエージェント巡りもしたい。パンフレット代やらウェブページ代やら広報費だって必要でしょう。そんなことを考えると純利益はどんどん減っていきます。

(だから、正直に言えば今のようにポンポコ日本語学校が設立される状況が不思議です。どういう勝算があるのかな、と。)

これからますます、日本国内の日本語学校をどうしても目指さなければならない層が減っていくんではないかと思っています。「留学」以外の査証での入国、海外の日本語教育の充実、ICTの進化、等。

日本語教師の需要は無くならないと思うのですが、その活躍の場は日本語学校ではなくなるのでは…と。少しの期待と、少しの不安。